2024年9月10日

Promise

想像してみてください、あなたはトップシンガーで、ファンは次の曲を絶えず求めています。

少しでも安心してもらうために、公開時には知らせることを約束します。ファンに更新を購読できるリストを提供します。そこへメールアドレスを記入することができ、新曲が利用可能になると購読者全員がすぐにそのことを受け取れるようになります。そして、スタジオで火災が発生するなど、何か大きな問題が生じて曲が公開できなくなったとしても、購読者に通知されます。

誰もがハッピーです: ファンはこれ以上あなたに押し寄せてくることはなく、かつファンは新曲を逃すことはありません。

これは、プログラミングでよくあることの実世界での例えです。

  1. 何かを行い時間を必要とする “生成コード”。例えば、ネットワークを経由してデータをロードするコードです。これは “シンガー” です。
  2. 準備が整ったら “生成コード” の結果が欲しい “消費コード”。多くの関数がその結果を必要とするかもしれません。これらは “ファン” です。
  3. promise は “生成コード” と “消費コード” をリンクする特別な JavaScript オブジェクトです。今回の例では、“購読リスト” です。生成コードは約束された結果を生成するために必要な時間をかけます。そして “promise” は準備ができたら、購読したすべてのコードが結果を利用できるようにします。

JavaScript の promise には追加の特徴や制限があり、単純な購読リストよりも複雑であるため、上の例はあまり正確ではないかもしれません。しかし、最初にイメージを理解するのには役立ちます。

promise オブジェクトのコンストラクタ構文は次の通りです:

let promise = new Promise(function(resolve, reject) {
  // executor (生成コード, "シンガー")
});

new Promise へ渡される関数は executor(執行者) と呼ばれます。new promise が作成されると、executor は自動的に実行されます。それは最終的に結果を生成コードを含んでいます。上記の例の言葉では、executor は “シンガー” です。

引数 resolvereject は JavaScript 自身により提供されるコールバックです。我々のコードは executor の中にだけあります。

executor が結果を取得したとき、早い遅いは関係なく、以下のいずれかのコールバックを呼び出す必要があります。

  • resolve(value) – ジョブが正常に終了した場合。結果の value を持ちます。
  • reject(error) – エラーが発生した場合。error はエラーオブジェクトです。

要約すると: executor は自動的に実行を行い、ジョブの実行を試みます。ジョブが完了したとき、resolve が呼ばれ、エラーの場合には reject が呼ばれます。

new Promise コンストラクタによって返却されるpromise オブジェクトは、これらの内部プロパティを持っています。

  • state – 最初は "pending(保留中)" であり、その後 resolve が呼ばれると "fulfilled(完了)" 、もしくは reject が呼ばれると "rejected(拒否)" に変更されます。
  • result – 初期値は undefined です。その後、resolve(value) が呼ばれると value に、reject(error) が呼ばれると error になります。

したがって、executor は最終的に promise を次のいずれかの状態にします:

後ほど、“ファン” がどうやってこれらの変更が購読できるかをみていきましょう。

これは、Promise コンストラクタとその “生成コード” (setTimeout) を持つ単純なexecutor関数の例です。

let promise = new Promise(function(resolve, reject) {
  // promise が作られたとき、関数は自動的に実行されます

  // 1秒後、ジョブが "done!" という結果と一緒に完了したことを合図します
  setTimeout(() => resolve("done!"), 1000);
});

上のコードを実行すると2つの事が見えます:

  1. executor は自動的かつ即座に呼ばれます(new Promise によって)。

  2. executor は2つの引数を受け取ります: resolvereject です。これらの関数は JavaScript エンジンにより定義済みの関数なので、作成する必要はありません。準備ができた際にそれらを呼ぶだけです。

    処理が始まり1秒後に、executor は結果を生成する resolve("done") を呼び出します。これで promise オブジェクトの状態が変わります。

これはジョブが正常に完了した例, “履行した(fulfilled) promise” でした。

そして、次はエラーで executor が promise を拒否する例です。:

let promise = new Promise(function(resolve, reject) {
  // 1秒後、ジョブがエラーで終わったことを合図します
  setTimeout(() => reject(new Error("Whoops!")), 1000);
});

reject(...) の呼び出しは、promise オブジェクトの状態を "rejected" に変えます:

要約すると、executor はジョブ(通常は時間のかかる何か)を行い、その後、対応する promise オブジェクトの状態を変更するために、resolve または reject を呼び出します。

解決または拒否されている promise は、 “pending” の promise とは対照的に “settled” と呼ばれます。

1つの結果またはエラーのみです

executor は1つの resolve または reject だけを呼びだす必要があります。promise の状態の変化は最後のものです。

さらなる resolvereject はすべて無視されます:

let promise = new Promise(function(resolve, reject) {
  resolve("done");

  reject(new Error("…")); // 無視されます
  setTimeout(() => resolve("…")); // 無視されます
});

この考えは、executor により行われたジョブは、1つの結果またはエラーのみを持つということです。

また、1つ以上の引数で resolve/reject を呼び出した場合、最初の引数が使われ、以降の引数は無視されます。

Error オブジェクトで reject する

技術的には、任意の型の引数で reject を呼び出すことが可能です(resolve のように)。しかし、reject (またはそれを継承したもの)では、Error オブジェクトを利用することを推奨します。その理由は後ほど明らかになります。

Resolve/rejectは即時実行可能です

実際には、通常 executor は非同期で何かを行い、暫く時間が経過した後に resolve/reject を呼び出しますが、それは必須ではありません。次のように、すぐに resolvereject を呼び出すことが可能です。:

let promise = new Promise(function(resolve, reject) {
  // not taking our time to do the job
  resolve(123); // 即座に結果 123 を返します
});

例えば、ジョブの開始後、すでにすべての処理が完了していたりキャッシュされているような場合です。

これは問題ありません。即座に解決された promise が得られます。

stateresult は内部のプロパティです

promise オブジェクトのプロパティ stateresult は内部的なものです。我々のコードから直接アクセスすることはできません。代わりに .then/catch メソッドを利用します。それらについては下で説明します。

消費者: .then, .catch, finally

Promise オブジェクトは executor(“生成コード” あるいは “シンガー”)と消費関数(“ファン”) の間のリンクとして機能し、結果またはエラーを受け取ります。消費関数はメソッド .then, .catch, .finally を使って登録(購読)することができます。

then

最も重要で基本的なものは .then です。

構文は次の通りです:

promise.then(
  function(result) { /* 成功した結果を扱う */ },
  function(error) { /* エラーを扱う */ }
);

.then の最初の引数は、promise が解決(resolve)されたときに実行され、結果を受け取ります。

.then の2つ目の引数は、promise が拒否(reject)されたときに実行され、エラーを受け取ります。

例えば、これは正常に解決された promise の動きです:

let promise = new Promise(function(resolve, reject) {
  setTimeout(() => resolve("done!"), 1000);
});

// resolve は .then の最初の関数を実行する
promise.then(
  result => alert(result), // 1秒後に "done!" を表示
  error => alert(error) // 実行されない
);

最初の関数は実行されました。

そして拒否の場合は2つ目の関数です:

let promise = new Promise(function(resolve, reject) {
  setTimeout(() => reject(new Error("Whoops!")), 1000);
});

// reject は .then の2つ目の関数を実行する
promise.then(
  result => alert(result), // 実行されない
  error => alert(error) // 1秒後に "Error: Whoops!" を表示
);

もし、正常完了の場合だけを扱いたい場合は、.then には引数を1つだけを指定します:

let promise = new Promise(resolve => {
  setTimeout(() => resolve("done!"), 1000);
});

promise.then(alert); // 1秒後に "done!" を表示

catch

エラーにのみ関心がある場合は、第一引数に null : .then(null, function) と指定します。 または、.catch(function) が使えます。これはまったく同じです。

let promise = new Promise((resolve, reject) => {
  setTimeout(() => reject(new Error("Whoops!")), 1000);
});

// .catch(f) は promise.then(null, f) と同じです
promise.catch(alert); // 1秒後に "Error: Whoops!" を表示

.catch(f) の呼び出しは、.then(null, f) の完全な類似物であり、単に簡略化したものです。

finally

通常の try {...} catch {...}finally 節があるように、Promise にも finally があります。

.finally(f) 呼び出しは、Promise が完了したとき(解決または拒否になったとき)に必ず実行されるという意味で .then(f, f) に似ています。

finally はクリーンアップを実行するのに便利なハンドラです。例えば、結果がどちらであっても、もう不要となったので読み込み中のインジケータを停止するなどです。

このようになります:

new Promise((resolve, reject) => {
  /* 時間のかかる処理を行い、その後 resolve/reject を呼び出す */
})
  // 成功か失敗かは関係なく、promise が確定したときに実行されます
  .finally(() => 読込中のインジケータを停止する )
  // したがって、読み込み中のインジケータは結果/エラーを処理する前に必ず停止されます
  .then(result => 結果を表示する, err => エラーを表示する)

これは正確な then(f,f) のエイリアスではありません。いくつかの重要な違いがあります:

  1. finally ハンドラは引数を取りません。finally では promise が成功したかどうかは分かりません。ただし、ここで行うタスクは、通常 “一般的な” ファイナライズ処理を行うことになるので問題ありません。

  2. finally ハンドラは次のハンドラに結果あるいはエラーを渡します。

    例えば、ここでは結果が finally から then へと渡されています:

    new Promise((resolve, reject) => {
      setTimeout(() => resolve("result"), 2000)
    })
      .finally(() => alert("Promise ready"))
      .then(result => alert(result)); // <-- .then は結果(result)を扱います

    そして、ここでは promise でエラーで発生し、finally から catch へエラーが渡されています:

    new Promise((resolve, reject) => {
      throw new Error("error");
    })
      .finally(() => alert("Promise ready"))
      .catch(err => alert(err));  // <-- .catch はエラーオブジェクトを扱います

finally は promise の結果を処理する手段ではないので、これは非常に便利です。

次のチャプターでは、promise の連鎖とハンドラ間での結果の受け渡しについてより深く説明します。

完了済みの promise にもハンドラがセットできます

promise が pending の場合、.then/catch/finally ハンドラは結果を待ちます。そうではなく、promise がすでに settled である場合は直ちに実行されます。:

// 即座に promise が解決されます
let promise = new Promise(resolve => resolve("done!"));

promise.then(alert); // done! (すぐに表示されます)

これは、実際の “購読者リスト” のシナリオよりも promise をより強力にすることに注目してだくさい。シンガーが既に新曲をリリース済みで、その後にファンが購読者リストにサインアップした場合、彼らはおそらくその曲は受け取れないでしょう。実世界の購読者はイベントの前に登録を完了していなければなりません。

Promise はより柔軟性があります。いつでもハンドラが追加できます。結果が既にでている場合でも実行します。

次に、非同期コードを書くにあたり、promise がどのように役立つか、より実践的な例を見てみましょう。

例: loadScript

前の章で、スクリプトを読み込むための関数 loadScript がありました。

思い出すために、ここにコールバックベースのパターンを示します。:

function loadScript(src, callback) {
  let script = document.createElement('script');
  script.src = src;

  script.onload = () => callback(null, script);
  script.onerror = () => callback(new Error(`Script load error ` + src));

  document.head.append(script);
}

promise を使って再実装してみましょう。

新しい関数 loadScript はコールバックを必要としません。代わりに、読み込みが完了したときに解決する promise オブジェクトを生成し返します。外部コードは .then を使用してそれにハンドラを追加することができます。:

function loadScript(src) {
  return new Promise(function(resolve, reject) {
    let script = document.createElement('script');
    script.src = src;

    script.onload = () => resolve(script);
    script.onerror = () => reject(new Error("Script load error: " + src));

    document.head.append(script);
  });
}

使用方法:

let promise = loadScript("https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/lodash.js/4.17.11/lodash.js");

promise.then(
  script => alert(`${script.src} is loaded!`),
  error => alert(`Error: ${error.message}`)
);

promise.then(script => alert('Another handler...'));

コールバックベースのパターンと比べると利点がすぐにわかります。:

Promise コールバック
Promise を使うことで、自然な順序で処理を記述することができます。まず、loadScript(script) を実行し、.then を使ってその結果をどうするかを書きます。 loadScript(script, callback) を呼び出すときには、callback 関数が必要です。つまり、locadScript が呼ばれる 前に 結果をどう処理するのかを知っておく必要があります。
Promise では .then を何度でも呼び出すことができます。毎回、新しい “ファン” を “購読リスト” に追加しています。 これについては次のチャプターで詳しく説明します: コールバックは1つだけです

promise はより良いコードフローと柔軟性をもたらします。しかしもっと多くのことがあります。それらについては次の章で見ていきましょう。

タスク

以下のコードの出力は何でしょう?

let promise = new Promise(function(resolve, reject) {
  resolve(1);

  setTimeout(() => resolve(2), 1000);
});

promise.then(alert);

出力結果は: 1.

resolve の2度目の呼び出しは無視されます。なぜなら reject/resolve の初回の呼び出しのみが考慮されるためです。さらなる呼び出しは無視されます。

組み込み関数 setTimeout はコールバックを使用します。promise ベースで代替のものを作成してください。

関数 delay(ms) は promise を返す必要があります。その promise は ms ミリ秒後に解決され、そこへ .then を追加することができます。次のようになります:

function delay(ms) {
  // あなたのコード
}

delay(3000).then(() => alert('runs after 3 seconds'));
function delay(ms) {
  return new Promise(resolve => setTimeout(resolve, ms));
}

delay(3000).then(() => alert('runs after 3 seconds'));

このタスクでは、resolve が引数無しで呼び出されることに注意してください。delay からは何の値も返しません、ただ遅延を保証します。

タスク コールバック付きのアニメーション化された円 の解答にある showCircle 関数を、コールバックを受ける代わりに promise を返すように書き直してください。

新しい使い方:

showCircle(150, 150, 100).then(div => {
  div.classList.add('message-ball');
  div.append("Hello, world!");
});

このタスクのベースとして、タスク コールバック付きのアニメーション化された円 の解答を利用してください。

チュートリアルマップ

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