ArrayBuffer
とビューは ECMA 規格、JavaScript の一部です。
ブラウザには、さらに File API に記載されている高水準のオブジェクトがあります。特に Blob
です。
Blob
はオプションの文字列 type
(通常は MIMEタイプ) と blobParts
– 一連の他の Blob
オブジェクト、文字列や BufferSources
から構成されます。
コンストラクタの構文は次の通りです:
new Blob(blobParts, options);
blobParts
はBlob
/BufferSource
/String
の値の配列ですoptions
オプションのオブジェクト:type
– blob タイプ, 通常は例えばimage/png
のような MIME タイプです,endings
– blob が現在の OS の改行(\r\n
or\n
)に対応するように行末を変換するかどうかを意味します。デフォルトでは"transparent"
(何もしません)ですが、"native"
(変換する)にすることもできます。
例:
// 文字列から Blob を作成します
let blob = new Blob(["<html>…</html>"], {type: 'text/html'});
// 注意してください: 最初の引数は配列である必要があります
// 型付き配列と文字列から Blob を作成します
let hello = new Uint8Array([72, 101, 108, 108, 111]); // 二進での "hello"
let blob = new Blob([hello, ' ', 'world'], {type: 'text/plain'});
blob の一部を抽出することもできます:
blob.slice([byteStart], [byteEnd], [contentType]);
byteStart
– 開始バイト、デフォルトは 0。byteEnd
– 最後のバイト(このバイトは含みません。デフォルトは最後までです).contentType
– 新しい blob のtype
です。デフォルトは元と同じになります。
引数は array.slice
に似ており、負の値も許可されます。
blob のデータを直接変更することはできませんが、blob の一部を切り出したり、それらから新しい blob を作成したり、それらを新しい blob にミックスしたりすることはできます。
この振る舞いは JavaScript の文字列に似ています: 文字列内の文字を変えることはできませんが、訂正した新しい文字列を作成することはできます。
URL としての Blob
Blob はその内容を表示するのに、<a>
, <img>
や他のタグの URL として簡単に使うことができます。
type
のおかげで blob をダウンロード/アップロードすることも可能で、それはネットワークリクエストではもちろん Content-Type
になります。
簡単例から始めてみましょう。リンクをクリックすると、hello world
の内容をもつ、動的に生成された blob をファイルとしてダウンロードします。:
<!-- download 属性は、ブラウザは移動する代わりにダウンロードを行います -->
<a download="hello.txt" href='#' id="link">Download</a>
<script>
let blob = new Blob(["Hello, world!"], {type: 'text/plain'});
link.href = URL.createObjectURL(blob);
</script>
また、JavaScript で動的にリンクを作成し、link.click()
によりクリックをシミュレートすることもできます。すると、ダウンロードは自動的に始まります。
これは HTML なしで、動的に生成された Blob を利用者にダウンロードさせる類似のコードです:
let link = document.createElement('a');
link.download = 'hello.txt';
let blob = new Blob(['Hello, world!'], {type: 'text/plain'});
link.href = URL.createObjectURL(blob);
link.click();
URL.revokeObjectURL(link.href);
URL.createObjectURL
は blob を取り、blob:<origin>/<uuid>
という形式の一意なURLを生成します。
これは、link.href
の値がどのように見えるかの例です:
blob:https://javascript.info/1e67e00e-860d-40a5-89ae-6ab0cbee6273
URL.createObjectURL
により生成された各 URL に対して、ブラウザは url → blob のマッピングを内部に格納します。そのため、url は短いですが、blob にアクセスすることができます。
生成された url (とそれへのリンク)は現在のドキュメント内で、かつ開いている間のみ有効です。それにより、<img>
, <a>
、基本的に url を想定するあらゆるオブジェクトで blob を参照することができます。
しかし、副作用もあります。blob のマッピングがある間、blob 自身はメモリ内に存在し続けます。ブラウザはそれを解放することはできません。
マッピングは、ドキュメントがアンロードされると自動的にクリアされ、blob もそのとき解放されます。しかしアプリケーションの寿命が長ければ、すぐにはそれは起きません。
したがって、URL を作成すると、それ以上必要なくなっても、blob はメモリに溜まります。
URL.revokeObjectURL(url)
は内部のマッピングから参照を削除します。これにより blob が削除され(他に参照がない場合)、メモリを解放することができます。
最後の例では、blob は即時ダウンロードのために、一度だけ使われることを意図しているので、すぐに URL.revokeObjectURL(link.href)
を呼び出します。
しかし、クリック可能な HTML リンクのある前の例では、URL.revokeObjectURL(link.href)
を呼び出しません。なぜなら、これは blob url を無効にするからです。失効後は、マッピングが削除されているので、url は機能しなくなります。
Blob を base64 にする
URL.createObjectURL
の代替は blob を base64 エンコードされた文字列に変換する方法です。
このエンコーディングは、0 から 64 までの ASCII コードを用いて、バイナリデータを安全で “読み出し可能な” 文字列として表現します。そしてより重要なことは、“data-url” でこのエンコーディングが使用できることです。
data url は data:[<mediatype>][;base64],<data>
の形式です。このような url は “通常の” url と同等に、あらゆる場所で使用することができます。
例えば、これはスマイリーです:
<img src="data:image/png;base64,R0lGODlhDAAMAKIFAF5LAP/zxAAAANyuAP/gaP///wAAAAAAACH5BAEAAAUALAAAAAAMAAwAAAMlWLPcGjDKFYi9lxKBOaGcF35DhWHamZUW0K4mAbiwWtuf0uxFAgA7">
ブラウザは文字列をデコードし、イメージを表示します:
blob を base64 に変換するためには、組み込みの FileReader
オブジェクトを使用します。それは複数のフォーマットで blob からデータを読むことができます。次のチャプターでは、より詳しく説明します。
これは、blob をダウンロードするで、base64 経由です:
let link = document.createElement('a');
link.download = 'hello.txt';
let blob = new Blob(['Hello, world!'], {type: 'text/plain'});
let reader = new FileReader();
reader.readAsDataURL(blob); // blob を base64 へ変換し onload を呼び出します
reader.onload = function() {
link.href = reader.result; // data url
link.click();
};
blob の URL を作成する方法は両方とも使用可能です。しかし、通常は URL.createObjectURL(blob)
がよりシンプルで速いです。
- メモリを気にする場合は、無効にする必要があります。
- blob への直接アクセス、“encoding/decoding” はありません。
- 何も無効にする必要はありません。
- 巨大な blob のエンコーディングでは、パフォーマンスとメモリを失います。
Image を blob にする
画像、画像の一部、あるいはページのスクリーンショットの blob を作成することもできます。どこかにアップロードするときに便利です。
画像操作は <canvas>
要素を通して行われます:
- canvas.drawImage を使って、canvas 上で画像(または一部)を書きます。
- blob を作成し、完了時に
callback
を実行する canvas メソッド .toBlob(callback, format, quality) を呼び出します。
下記の例では、画像を単にコピーしていますが、blob を作成する間に canvas 上で切り取ったり変形させることができます。:
// 画像を取ります
let img = document.querySelector('img');
// 同じサイズの <canvas> を作ります
let canvas = document.createElement('canvas');
canvas.width = img.clientWidth;
canvas.height = img.clientHeight;
let context = canvas.getContext('2d');
// 画像をコピーします (このメソッドで画像をカットすることができます)
context.drawImage(img, 0, 0);
// canvas 上では、context.rotate(), やその他様々なことができます
// toBlob は非同期操作で、callback は完了時に呼ばれます
canvas.toBlob(function(blob) {
// blob の準備ができたのでダウンロードします
let link = document.createElement('a');
link.download = 'example.png';
link.href = URL.createObjectURL(blob);
link.click();
// ブラウザがメモリをクリアできるよう、内部の blob への参照を削除します。
URL.revokeObjectURL(link.href);
}, 'image/png');
コールバックより async/await
を好む場合は次のようになります:
let blob = await new Promise(resolve => canvasElem.toBlob(resolve, 'image/png'));
ページをスクリーンショットするには、https://github.com/niklasvh/html2canvas のようなライブラリが使えます。これがしていることは、単にページを見て <canvas>
上にそれを描いているだけです。そして、上と同じ方法でその blob を取得することができます。
Blob から ArrayBuffer へ
Blob
コンストラクタは、BufferSource
を含め、ほぼ何からでも blob を作成することができます。
しかし、低レベルの処理を実行する必要がある場合、FileReader
を使って、最も低レベルである ArrayBuffer
を取得することもできます。:
// blob から arrayBuffer を取得
let fileReader = new FileReader();
fileReader.readAsArrayBuffer(blob);
fileReader.onload = function(event) {
let arrayBuffer = fileReader.result;
};
サマリ
ArrayBuffer
, Uint8Array
やその他の BufferSource
が “バイナリデータ” である一方、Blob は “タイプを持つバイナリデータ” を表します。
これは Blob のアップロード/ダウンロード操作を便利にし、ブラウザでは一般的です。
XMLHttpRequest, 記事 "fetch-basics" が見つかりません などの webリクエストを行うメソッドは、他のバイナリタイプと同様に、Blob
をネイティブに使用することができます。
Blob
と低レベルのバイナリデータ型の間の変換は容易に行うことができます。:
new Blob(...)
コンストラクタを使用して、型付き配列から Blob を作成することができます。FileReader
を使用して、Blob からArrayBuffer
に戻すことができ、低レベルのバイナリ処理のためにビューを作成することもできます。